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 書評:

『マンション力――マンションが日本を変える』 
(2009.1)

 

飯田太郎・大越武・伊能肇(共著)
川崎達之・前高層住宅管理業協会理事長(監修)

 マンションが都市住宅の中心的な居住形態になるとともに、建替えや超高層マンションの管理などの、新たな難問も続出している。こうした課題の解決は、マンションの供給と管理という、従来の仕分けを超えた取り組みが必要なことはいうまでもない。

 しかし、マンションの分譲事業者と管理事業者とは、建前はともかく、実際にはそれほど親密とはいえない。デベロッパーが親会社で、管理会社は子会社という組織体制上の問題も影響しているが、マンションを一つの社会基盤システムとして考える習慣や発想が、業界全体に乏しいことが大きな原因である。

 『マンション力――マンションが日本を変える』という本書のタイトルは、やや大げさな感がしないでもないが、業界事情に詳しい著者たちや監修者の「このままで良いのか!」という苛立ちや危機感が、反映しているのかもしれない。行政や関係者の取り組み方次第で、マンション事業は日本の社会や経済にもっと大きなインパクトを与えることができるという、著者と監修者との主張は傾聴に値しよう。

 本書は二部構成で、第一部は、東京都心3区ですでに、マンション居住世帯が75%を超えていることを踏まえ、今後、利便性の高いマンション居住を選択する人が、地方都市でも増えると予想。マンションが日本人の暮らしの中にますます浸透し、地域の「マンション社会」化が進むという視点から、多様な分野での新たなビジネスチャンスの可能性を指摘している点は、興味深い。

 第二部では、高層住宅管理業協会の現理事長の黒住昌昭氏を始め、マンション分譲と管理にかかわるトップ24人が、10年後の社会を見据えながら、それぞれの立場から業界と企業の現在と未来の将来像を語っている。各社の技術開発や、人材育成などの企業行動が分かるとともに、マンション・デベロッパーとマンション管理の、供給と管理にまたがるマンション事業の将来像全体を俯瞰することができる。

 景気は今後、さらに厳しさを増すといわれているが、少子高齢・人口減少の時代だからこそ、「マンション力」が発揮されるという本書のメッセージは、業界関係者だけでなく、マンションにかかわるすべての人々を励ましてくれよう。不動産業に関係する人たちに一読を勧めたい。

『マンション力――マンションが日本を変える』
『マンション力――マンションが日本を変える』

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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